本「人を動かす」D・カーネギー著
この本の名前を初めて知ったのは去年の六月。ここでしつこく書いてますが、当時人生最大の失恋を味わった。なりゆきで「あきらめられない彼を手に入れる恋愛の極意」という買うのがすごく恥かしいタイトルの本を読むことになり、その中でお薦め図書の一冊として紹介されていたのがこの「人を動かす」。面白そうなタイトルの本だな、と思ったものの、「あきらめられない・・・」を読むだけでも屈辱的行為なのに、その中のお薦め本を続けざまに読むってのもどうなのよ、と読まずにいた。ところがその後ビジネス系のインタビュー記事の中で紹介されいているのを何度かみかけた。こういう翻訳ものの自己啓発本に詳しい国際部BM嬢に聞いてみると、
「知ってるわ。ビジネスマンのバイブルでしょ。読んだことないけど」
というわけで、あれから一年経ったことだし読んでみることに。1936年に発行していまだに世界中で売れているというのもすごい。会社近くの中型本屋で平積みになっていた。要は定番なのね。元祖自己啓発本らしい。
原題は"How to win friends and influence people"。内容と照らし合わせてみるに、「相手を敵としないで味方にし、かつそのひとを操作する」ってなあたり。ちょっと人聞き悪いか。邦題の「人を動かす」ってばっちりいいタイトルだと思います。読んでみると世界中で幅広い世代に売れるのもわかる。内容が具体的で読みやすく、宗教臭さが全くない。「名前を覚える」「ひとの関心のありかを見抜く」「人の身になる」「同情をもつ」「期待をかける」「美しい心情に呼びかける」etc...これらのことが主に仕事関係、会社関係、家族関係を例に具体的に説明してある。要は、人を動かそうと思ったら自分は感情に任せて行動してはならない、常に冷静でいなくてはならない、ってあたり。恋愛もそうですよ、ってなことなんでしょうか。例の恋愛指南書が薦めるってことは。私は喜怒哀楽が激しいからハードル高いなあ。間寛平のギャグにあったけど「いくつになっても甘えん坊♪」なのよ。
会社の近くの小さな神社は毎月「ありがたいお言葉」を掲示板に張り出している。今月はあの沢庵和尚のお言葉で、
「心こそ心迷わす心なれ、心に心、心ゆるすな」
この言葉遊びみたいで、ちょっとわからないお言葉を、私は全く知らなかったのだけど、自分の喜怒哀楽に振り回されて自分を見失ってはならない、むしろ自分が己の主人となるべく心を制御できるように努めることこそ幸福への道である、という意味の有名なお言葉らしい。うーん、まさに「人を動かす」の内容の中核をなす精神性。デール・カーネギーはこんな抽象的なことは一切書いてないけど、まさに古今東西。あの世で沢庵和尚とデールは手を取り合っていることでしょう。「ひとを動かす」を読み終わった私にはタイムリーで感無量。
ちなみに沢庵和尚は江戸初期のお坊さんで、私が毎週立ち読みしているモーニングに連載の漫画「バガボンド」にも重要人物として出てくるけど、宮本武蔵と関わりあったというのはフィクションのようです。お言葉の出典は沢庵宗彭著「不動智神妙録」だそうです。
「ひとを動かす」を買って家に帰ったら母が、
「あんたこの本買ったの? お父さん買って昔からあったのに、最近本棚の整理したとき捨てたのよ」
「え? お父さん、この本読んだの?」
「そうよ。有名だもん」
「だって”笑顔を忘れない””誤りを指摘しない””ひとにしゃべらせる””聞き手にまわる””まずほめる””命令しない””おだやかに話す””ささやかな心づくしを怠らない”だよ。すごいよお父さん、全部できてないじゃん」
「そんなあんた、本読んだだけでできたら人間苦労しないわよ」
そうなんである。「女性の品格」(坂東眞理子著)もそうだったけど、ある程度売れている自己啓発本を読むと、書いてあることはみなだいたい同じ。目新しい知識はほとんどない。たいてい「知ってはいるけど、忘れていること、実践できていないこと」が羅列されている。凡人ってこんなものだわ。でも向上しようと努力する姿勢が大事。ね、パピィ。
ご参考までに。
「あきらめられない彼を手に入れる恋愛の極意」についての記事はこちら↓
http://ontheedge.cocolog-nifty.com/blog/2007/06/post_b3c7.html
「女性の品格」についての記事はこちら↓
http://ontheedge.cocolog-nifty.com/blog/2008/01/post_1e17.html






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